壁を突破!『今日は大事なテストの日だよ?』の巻
壁を突破する“ヒント”がみつかる、かもしれません。
中学生のひかるが、いつものように登校した、ある日のことです。
クラスメイトの多くが、机の上に教科書を開いて勉強していました。
ひかる「おはよ。なんで皆、今日は勉強熱心なの?」
ひかるは、同級生にたずねました。
同級生「は?今日はテストだよ。しかも、普通のテストじゃなくて、大事なテストなんだよ」
ひかる「へ?なんじゃ?そりゃ。知らなかった~」
同級生「みんな、何日も前から勉強してるよ」
同級生「ひかる、アホだな...」
ひかる「いか~ん、ピンチ!今日の教科書しか持ってきてない。だれか、教科書貸して!」
自分の手にないものを貸してもらおうと、ひかるは同級生たちに協力を求めたのです。
ところが...。
「貸さん。ギリギリまで勉強するんだ」同級生のだれもが、貸してはくれませんでした。
ひかるが『仕方ないか』とあきらめようとした時、1冊の教科書がひかるに差し出されました。
同級生A「貸してやる」
ひかる「え?いいの?勉強しなくて...」
同級生A「いい。いまさらギリギリまでやったって、変わらないよ」
ひかる「さんきゅ!!!」
同級生Aの救いの手によって、ひかるは教科書を手にすることができたのでした。
『さて、テストまで、あと5分くらいか。全部を頭に入れる時間は、ないな』
与えられた時間の中で、じぶんが出来ることを冷静に考えました。
できるのは、出題されるであろう箇所だけに絞り、勉強すること。
“的(まと)を絞る”ことができれば、時間短縮ができる!
- この教科の中で、学生に外してほしくないであろうポイントをみつける。
- 鋭い“カン”を集中して使うことで、さらに鋭くさせて、あたる確率を高くする。
ひかるは、あたりをつけ始めました。
「ここ、でるぞ」と同級生Aに伝えながら、教科書をパラパラとめくり、重点だけを覚えていったのでした。
黙々と一人で教科書に没頭した方が、内容を脳内に叩き込めることは、ひかるにもわかっていました。
それでもなお、同級生Aに自分のカンが指し示すものを伝えたのです。
『それは、なぜか?』
多くの人間が自分の不安のために“貸さない”と、握りしめた教科書。
同級生Aは、自身の不安を払拭して、気の毒な他者のために差し出したのです。
“ひとを思いやる心”
“崇高な自己犠牲”
“奉仕の精神”
『それらが報われない、なんてことは、断じて許されてはならない』
ひかるは、そう感じていました。
ひかるは、受けた恩をかならず返します。
感謝したなら、想いを受けとめたなら、ちゃんと返すこと。
一つ目のテストがはじまり、そして、おわりました。
同級生Aが興奮気味にひかるに話しかけてきました。
同級生A「ひかる!すげぇ!出るって言ったところ、全部でた!!さんきゅー!!!」
ひかる「おう!教科書貸してくれた礼だ。ありがとな」
同級生A「つぎのテストの教科書、これ!次もたのんだぞ!」
ひかる「はっはっは!残念だったな、次の教科書は持ってきてる」
同級生A「ぬゎ~にぃ~~~!」
ひかる「あたりつけた所を解けたんだろ?改めて勉強しなくても。いまは、不安なだけだ。ちゃんと今まで勉強してきた自分を、信じろ」
同級生A「...たしかに、そうだ」
それからも、ひかるは出題される問題をあてまくりました。
そうして、すべてのテストを無事に終えたのでした―――――。
~~~おしまい~~~
出題箇所を当てたなら、満点をとったと思いますか?
結果は、全学生の真ん中あたり(ちょい下だったかな?)の成績でございました。
なぜか、って?
『これは、ページの中央よりチョイ上で右側の“ここ”に、答えが書いてあった!』
だが、しかし。
『...けど、なんて書いてあったかモヤがかかって、思い出せ~ん!!!』
しょせんは、“つけやきば”なのでございました、とさ笑
ここぞ、という時のために、日ごろから鍛錬しておかねば、なりませんね。
でも、突然現れる壁も、人生にはあります。
その時までに準備ができていないことなんて、多々あります。
そんなとき。
じぶんが“できること”を考えること。
じぶんが“できない”ことは、周りに助けてもらうこと。
感謝は、ちゃんと、おかえししましょうね!
ながい人生。
じぶんがどの登場人物になるか、なんて、わかりません。
でも、どの立場も経験すると思うのですよ。
そんなとき、あなたは、『どんな自分でありたい』かな?